英国海軍−シニア・サービスの活躍と苦悩 後編

『英国海軍−シニア・サービス』アフターアクションレポート (27号)


前号までのあらすじ
 慎重な独軍、攻撃的な日本軍、堅実な米軍、そして私(英軍)を含めた4人のプレイヤーで行われている。
 ゲーム開始直後の判定で、伊軍重巡部隊はジブラルタルを突破に成功するが、なんと彼らはスペインのフェロールで拿捕されてしまう。
 独軍のUボート、Qシップは主にアフリカ大陸沿岸で活発な活動を見せ、東アフリカ沿岸を哨戒していた空母<グローリアス>が第1ターンに沈められた。
 第3〜4ターンにかけては、アレクサンドリアを目指すタイガー船団を巡って、英伊の間で激しい総力戦が地中海で繰り広げられる。この戦いは我が英軍の勝利に終わり、伊艦隊を一時的にせよ壊滅状態に陥ちいらせた。
 これ以後、しばらくは地中海は連合軍が掌握するものの、トルコが枢軸側に立って参戦を表明する。
 第6ターンに行われたデンマーク海峡沖海戦では、<ビスマルク>と<ティルピッツ>が圧倒的な強さを誇示して独軍の圧勝、英軍は甚大な損害を被ってしまう。
 地中海の戦いで疲弊した英軍とは対照的に、独軍は徹底した兵力温存主義で着々と戦備を固め、未だ戦没艦はなし。
 太平洋では、日本軍が史実通り真珠湾を奇襲。この攻撃で米軍は<飛龍><蒼龍>を沈めるも、7隻の戦艦と<エンタープライズ>を失う。
 日本軍の勢いは止まるところを知らず、インドシナ、シンガポール、そしてミッドウェイ島までもを次々と攻略していった。
 しかし、米軍も3隻の空母ですかさずミッドウェイ島を奪回する。
 その後、日本軍はその危険な矛先を西に向け、4隻の空母に<大和><武蔵>を率いた大機動部隊で、セイロンを攻略したのだった。

第8ターン:両陣営の戦備整う
 10隻の空母が真珠湾に登場した。これにより、極端に劣っていた米軍の太平洋方面の空母兵力は、日本軍とほぼ互角になった。
 日本軍はセイロンに軽空母4隻と戦艦4隻を基幹とした艦隊を派遣し、枢軸同盟の連携を狙う。その証拠に、3隻の独軍ポケット戦艦が喜望峰から回航し、セイロンに寄港した。
 東に目を向ければ、6隻の正規空母を主力とした大艦隊がトラックに集結し始めた。陸戦隊3ユニットもトラックに輸送され、航空基地の収容能力は∞になった。
 私はセイロンの事情を考慮して、<ビクトリアス>、<プレンス・オブ・ウェールズ>などをアレクサンドリアに派遣することにし、東アフリカ沿岸の哨戒にあたらせることにした。
 現在、日米ともに12VPずつを獲得、差は日本軍+4である。
 大西洋では、米軍のトーチ船団がカサブランカに入港した。第6ターンにデンマーク海峡の制海権を枢軸軍に奪われたためにその到着が1ターン遅れてしまい、英軍は3VPは得られなかった。
 この行動に、枢軸軍は接収した仏軍艦艇5ユニットで海戦を挑んできたが、米軍プレイヤーは新鋭戦艦<アイオワ>を投入。しかし、第1ラウンドに損害を被って強制帰港させられたことで意外な苦戦を強いられ、空母<レンジャー>が沈められてしまった。
 ちなみに、前ターンのトーチ船団のクライド寄港によって、米軍艦艇は英国本土に帰港できるようになった。
 黒海もソ連艦隊は重巡2隻を沈められるが、制海権を確保した。
 独軍はこのターン、わずか3VPしか得られなかった。

第9ターン:決戦
 このターンも米軍は空母が7隻登場、しかも全てボーナス付き。うらやましい限りである。しかも、強力なエセックス級は全て太平洋に向けられた。
 そんなことにはおかまいなく、独艦隊全艦が北海に出現! 我が英軍は<イラストリアス>、<ネルソン>、<ロドネイ>他3隻で、全くの劣勢である。
 もちろん、彼らの出撃は当然予想されるのだが、UボートとQシップの跳梁を見逃すわけにもいかないのだ。
 前半の地中海での戦いとUボートの攻撃による損害が、ここにきて効いてきた。現にこのターンも、デンマーク海峡とビスケー湾の制海権をQシップに奪われている。
 戦闘は、第1ラウンドに<ネルソン>が5のゾロ目で強制帰港させられ、あとは為すがまま。<ビスマルク>に7ダメージを与えただけで、<イラストリアス>と<ロドネイ>が沈められてしまった。
 東地中海でも、タラントから伊艦隊が出撃してきた。アレクサンドリアは前ターンに増強していたが、そもそも東アフリカ沿岸の哨戒が目的だったので、戦力自体は新鋭戦艦を多数擁する伊艦隊の足下にも及ばない。航空ユニットまで参加させてなんとかがんばったのだが、主力艦のほとんどがあえなく沈没。
 肝心の東アフリカ沿岸の哨戒にあたっていた<ビクトリアス>と<プレンス・オブ・ウェールズ>も、セイロンからやってきた<鳳翔>の艦載機と<長門>、<伊勢>の砲撃で沈没してしまった。
 我が英軍は3つの海戦で同時に大敗北を喫してしまった。勝利ポイントは6VP減。貯金は一気に吹き飛んだ。
 太平洋でも大きな動きが見られた。日本軍陸戦隊がラバウル、ポートモレスビーに上陸作戦を敢行したのだ。6隻の空母と<大和>、<金剛>、<比叡>が護衛に就いている。
 前ターンの増援で現れた米軍の海兵隊ユニットは、まだ太平洋を移動中。米軍は2ユニットの基地機で対抗するが、<飛鷹>を沈没させただけに終わる。
 ラバウルに日章旗が翻った。
 この日本軍の圧倒的な兵力のため、米軍プレイヤーは上陸部隊の攻撃を差し控え、マーシャル諸島沖を哨戒していた日本軍の囮部隊に目を向けた。
 しかし、出撃した4隻の空母はトラックの基地機にあっさりと撃退されてしまう。
 インド洋ではオーストラリア艦隊を率いた<サラトガ>と<ホーネット>の機動部隊と多数の基地機が独ポケット戦艦隊を全滅させた。セイロンの艦隊と連携していればもう少しうまく立ち回れたと思うのだが、マルチプレイになるといろいろと各プレイヤー、思惑を持っているようだ。
 日本軍のVPは7。航空機ポイントも11も残っている。えーと、これから増援で登場する日本軍空母は10隻……。あっ、ちゃんと計算していたのか。

第10ターン:静かなる反撃
 このターンから伊艦隊がタラントに帰港できなくなる。連合軍のシシリー上陸作戦の影響である。
 幸か不幸か、大西洋では大きな動きはなかった。独軍プレイヤーも<ビスマルク>が手傷を負った状態で本国艦隊を出撃する意志はなさそうだ。
 英軍の戦果としては、ノルウェー海でUボートを3隻撃沈(3のゾロ目を出したのだ)しただけである。
 しかし、米軍プレイヤーは太平洋での反抗準備に忙しいようだ。
 タラワに∞の航空基地を建設し、ラバウルに海兵隊を上陸させて奪回、日本軍の航空基地建設を阻止した。
 もちろん、多数の艦艇による護衛艦隊を伴っていたため、大規模な戦闘が予想されたが、米軍プレイヤーは砲撃戦を選択し、まんまと上陸を成功させたのである。
 日本軍には待望の<大鳳>が進水。しかし、この頃になると日米の空母の性能−特に攻撃力−の差は歴然としている。1隻の空母が、戦局を大きく動かすことはないだろう。

第11ターン:史上最大の海戦
 もはや、アレクサンドリアは日伊両軍の脅威によって、英軍だけでは保持できなくなっていた。急遽、英米の首脳会談が開かれ、敵が日本軍ということで、米軍からは<ワスプ>と<サウスダコタ>、<ワシントン>を拝借させてもらった。
 しかし、さっそくの海戦で、<サウスダコタ>は<長門>と相討ちとなってしまう。
 独軍はあいかわらず、出撃してくる様子はない。このため、大西洋方面の海域は、ほとんどが英軍の支配となった。VPは再び英軍+12となる。
 米軍プレイヤーも、ようやくその重い腰を上げた。
 南太平洋海戦は史上最大の航空撃滅戦となった。空襲力は50対50、ざっと2000機以上の激突である。
 日本軍はありったけの空母と6ユニットの基地機、それにこれまでに沈んだ空母から基地機に転用した数個の分割ユニットまでもかき集めてきた。
 米軍も負けじと正規空母×9、軽空母×5を投入(50%の成功確率の移動チェックにほとんど成功していた!)、結果的に<赤城>、<瑞鶴>、<翔鶴>、そして初陣の<大鳳>を撃沈したものの、それらの艦載機のほとんどはトラックへ帰還を許してしまった。
 残っている日本軍空母は、<加賀>と<隼鷹>のみ。だが、<雲竜>、<天城>、<伊吹>といった雲竜型空母3隻が新たに登場している。
 米軍も3隻の空母を沈められたが、まだ5隻の空母が加わる予定である。
 空母戦はほぼ互角の結果に終わり、どちらも陸戦隊を上陸させる。ラバウルを再び日本軍が奪回すると、米軍はマーシャル諸島の制海権を握り、クワジェリンを攻略した。
 日本軍のVPの蓄積はストップしたものの、いまだ10も残っている。

第12ターン:
 日米両国の生産力の差と南太平洋海戦での損失によって、両軍の空母戦力比は大きく米軍に傾いたが、日本軍には今なお、3隻の雲竜型と不沈空母<信濃>が存在する。
 日本軍は逃げ切り態勢に入った。彼は南太平洋とインドネシアの両海域に戦力を二分して防衛ラインを張ってきた。空母が少なくなったとはいえ、日本軍はいまだ豊富な基地機を活用できる立場にある。
 米軍プレイヤーはここで長考に入った。我が連合軍が勝利するためには、残り2ターンで11VPを獲らなければならない。鍵は15隻を越える60空襲力以上の空母群をいかに用いるか。
 5分後、彼は10隻の空母をインド洋に投入し、真珠湾にいた4隻をミッドウェーに進めた。悲しいのは、海兵隊の到着が遅れていることである。南太平洋の戦闘でその多くを失ってしまったので、現段階で海戦で勝利しても、根拠地を叩くことができない。
 インドネシア沖海戦は日本軍は砲撃フェイズを選択したものの、米軍艦載機は容赦なく襲いかかり、<阿蘇>、<笠置>を撃沈、3ユニットの基地機−つまり日本軍の航空戦力の約半数−を消し去ることに成功した。
 <金剛>、<榛名>を主力とした戦隊は退却し、インドネシア海域は米軍の手に帰った。しかし、VP差はまだ日本軍+6。
 けれども、決して不可能な数字ではない。
 大西洋では、独軍のUボートがいまだ7ユニットも跳梁している。本国艦隊には<アイオワ>、<ニュージャージー>を対抗させているが、英国自身の問題はやはりUボートである。
 私は疲弊の頂点を極めている英軍と太平洋偏重の米軍の現状では、全ての海域を守ることは不可能と判断、点差が開いている余裕もあって、ノルウェー海を捨て、デンマーク海峡〜北海にシーレーンを構築し、Uボート狩りに精を出すことにした。
 思惑通り、独軍は<アイオワ><ニュージャージー>との戦闘を避け、ノルウェー海に進出しただけだった。
 伊軍も、今では4隻の新鋭戦艦と1隻の空母を持つ強力な艦隊に変身している。
 そして、彼らはその美しい姿を“我らの海”地中海に再び現した。
 英軍も敢然と立ち向かい(もしかするとセイロンの日本軍が地中海にやってくるかもしれないのだ)、<ローマ>を沈没させたものの、東地中海の制海権は奪われてしまった。戦闘途中にして、<ワシントン>が中破、アレクサンドリアに強制帰港させられたことが大きく響いたのだった。

第13ターン:クライマックス
 戦いはクライマックスを迎えた。
 日本軍は南太平洋にわずかな艦を哨戒させただけで、マリアナ諸島とインドネシア海域に重点を置いてきた。この2つの海域を守りきれば、連合軍の勝利はなくなると言うVP勘定である。
 9防御力に防御ボーナスを持つ信濃は日本列島海域に配置。ミッドウェーからやってくるかもしれない脅威に対して、憮然と立ち向かっている。
 トラックの陸戦隊も早々に硫黄島へ転進していった。
 米軍プレイヤーは真珠湾とミッドウェーの空母計6隻をCAPに、タラワの海兵隊をトラックに上陸させた。インドネシア沖海戦に先立って、日本軍基地機をおびき寄せようとしたのだが、日本軍プレイヤーは乗ってこなかった。彼も本当の決戦場がどこであるかを知っているのである。
 インドネシア沖海戦では激しい航空戦の後、<大和>対<ミズーリ>の決闘が行われた。激しい砲戦は両艦を痛めつけ、ついに<大和>は轟沈、しかし<ミズーリ>も9ダメージの強制帰港。なんとか沈没だけは免れた這々の体であった。
 結局、航空戦を優位に進めた米軍がインドネシア海域の制海権を握り、南太平洋の制海権と合わせて、米軍は7VPを獲得、最終的なVPは米軍+1となり、我々は勝利したのであった。

総評
 足掛け2ヶ月40時間に渡る戦いは、こうして幕を閉じた。
 今一つ積極性に欠ける独伊米の姿勢が、大きな影響を与え続けた。そういう戦いであった。
 もちろんその伏線には、伊重巡部隊のフェロールでの拿捕、真珠湾奇襲による未曾有の損害があるように思える。特に米戦艦隊の全滅は後々まで響き、結局、米軍は最終局面まで航空戦力に頼らざるを得なくなり、空母戦力が整うまでの時間を浪費してしまった。
 ゲームに関して特筆すべきは、チャーチルの恐れたUボートの脅威が非常にすばらしい形で再現されている、と言うことである。独軍プレイヤーはたとえ早期決戦に敗れたとしても、決してゲーム終了まで退屈することはないだろう。
 そして、それに悩まされ続ける英海軍。太平洋戦役のような派手さはないが、彼らの能力こそが戦争の結末を左右するのである。
 移動の順番もよく考えられており、ゲーム的な要素を含めて、各国の戦略の優位性をうまく表している。
 また、艦の性能、構成、生産力(増援)を見ると、各国の性格が自然と浮かんでくる。日本軍の決戦思想などは、このゲームを一度プレイすれば、なぜ彼らがその考えに至ったのか必ず納得できるはずだ。
 贅沢を言わせてもらえれば、各国毎の勝利条件があれば申し分なしである。時期を改めて、ぜひとも発表してほしいものでだ。

 久しぶりの純国産ゲームということでよく売れているらしいが、500個限定で再販の予定はないと聞く。近々エキスパンション・キットも発売されるらしいので、興味を持たれた読者は早いうちに買っておいた方がよいだろう。


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更新日 : 2000/08/17.