小敵之堅、大敵之擒也

3W社『Campaign for Guadalcanal』アフターアクションレポート (10号)


 一九四二年八月七日。完成したばかりの日本軍の飛行場を奪取せんものと、米軍は夜明けと共にラバウルから五六〇海里離れたソロモン諸島に大挙押し寄せた。太平洋戦争のターニングポイントとなるガダルカナル島争奪戦の幕開けである。
 ガダルカナル島は日本軍が予定していたフィジー・サモア攻略作戦(FS作戦)、ポートモレスビー攻略作戦(MO作戦)、そしてラバウルの防衛、いずれにとっても重要な位置にあった。その証拠に、米軍は日本軍のガダルカナル島進出を重大な脅威と受け止め、ニミッツやマッカーサーがこの方面での反攻を主張している。
 そして、争奪戦は常に米軍有利に展開する。日本陸軍は米軍上陸後も無能な参謀たちと勲功にはやる指揮官によって、前線兵士たちを次々と死地へ送ることになる。一方、ミッドウェー海戦で四隻の主力空母を失った日本海軍は、この方面に展開していた空母群の温存に腐心するのみで、みすみす制空権を失ってしまう。
 戦力の逐次投入と分散配置、乏しい補給能力、時代遅れの白兵主義といった日本軍の弱点を全てさらけ出したこのガダルカナル島を巡る戦いは、翌年二月の奇跡的な撤退に成功するまで、読者諸兄のご存じの通り餓島と呼ばれるほど凄惨な様相を呈するのである。

キャンペーン・フォー・ガダルカナル
 一九九三年に3W社から発売された『キャンペーン・フォー・ガダルカナル』は、ガダルカナル島を巡る海戦ゲーム『ロングランス』と陸戦ゲーム『ヘンダーソン飛行場』の二つのゲームがセットになった非常にお得なシミュレーションゲームである。デザイナーはマイケル・スコット・スミス。この名前に聞き覚えがあるだろう。『戦艦の戦い(原題:サルボ!)』シリーズや『シンク・ザ・ビスマルク!』などの数々の傑作を生み出したデザイナーである。そして間違いなく、この『キャンペーン・フォー・ガダルカナル』もガダルカナル戦を扱ったシミュレーションゲームの決定版である。
 『キャンペーン・フォー・ガダルカナル』は、本誌に広告を掲載しているゲームショップで簡単に入手できる。ショップによっては日本語ルールが付いてくる。パソコン通信で注文、クレジットカードで代金を支払える便利なショップもあるので、どんどん利用してほしい。
 関連書籍としては、文春文庫の五味川純平著『ガダルカナル』がよいだろう。日本軍の視点から辛辣な批評が繰り広げられている。ただ、挿入されている地図だけでは状況がつかみにくいのが残念である。
 講談社から出版されている山岡荘八歴史文庫の『小説太平洋戦争〔三〕』は、非常に読みやすいので入門書に最適である。全九巻の大作だが、第三巻はミッドウェーとガダルカナルの話なので、非常に得をした気分になれる。

ロングランス
 海戦ゲーム『ロングランス』は一九四二年のガダルカナル島近海で行われた夜間水上戦を戦術レベルで再現している。フルサイズのマップ(一ヘクス千ヤード)の中央やや上部にはサヴォ島が描かれており、一ターン五分、ユニットは一隻単位になっている。ルールは七〇年代中期にSPI社から発売されていた海戦ゲームのものを改良したものだが、砲戦のイロハからレーダー、乗組員の練度、ダメージコントロールなど水上戦闘に不可欠な要素が満載されている。六つのシナリオはサヴォ島沖海戦からソロモン海戦、ルンガ沖海戦までを網羅しており、これらの結果が『ヘンダーソン飛行場』に少なからず影響を与える。
 ちなみに、このゲームは国際通信社から電撃的に発売された『戦艦の戦い』と同じルールを使用している(本誌九号別冊のコマンダーズ・コール参照)。しかし、『ロングランス』は戦艦から駆逐艦まで、全て一艦一ユニットで構成されていることに注目すべきである。

ヘンダーソン飛行場
 陸戦ゲーム『ヘンダーソン飛行場』のマップには、主戦場となったガダルカナル島北西部が描かれている。ユニットは主に大隊規模で、戦闘力、練度、移動力が記載されている。両軍プレイヤーが実際に盤上で動かすユニットは三〇〜四〇個程度(ユニット合計は一八二個)なので、手軽に楽しめる。
 ゲームターンは九月四日(第一ターン)から一一月三〇日(第二六ターン)まで二ターンを一週間として区切っている。
 シークエンスは両軍が増援、移動、戦闘、混乱回復の四つのフェイズを繰り返し、最後に戦力消耗チェックを行う単純なものである。しかし、ガダルカナル戦の雰囲気は十分に堪能できる。少し特徴のあるルールを紹介しよう。
 疲労チェック:非機械化ユニットに記載されている移動力の半分以上を消費すると、サイコロ一個を振る。そのユニットの練度より大きい目が出た場合、疲労−−戦闘力半減−−する。移動力の数値は要するに強行軍の最大移動距離を表しているのである。
 消耗チェック:ゲームターンの最後に両軍はこれに失敗すると、一ステップロス(軍全体でプレイヤー選択)しなければならない。
 ダミーマーカーと隠蔽マーカー:日本軍だけが八個のダミーマーカーと一〇個の隠蔽マーカーを持っている。当時の米軍の情報不足を表わすルールである。なんと、このダミーマーカー、スタック制限が適用される!のである。
 擒也:一度射撃した日本軍の砲兵ユニットが次の射撃を行うためには、サイコロ一個を振って二分の一の確率で成功しなければならない。
 浸透移動:敵のZOCから移動を開始した日本軍歩兵部隊は、ZOCを無視して一ヘクスだけ移動できる。
 バンザイ突撃:当然のことながら、日本軍歩兵部隊のみ可能である。戦闘力が二倍になるが、戦闘結果とは別に二ステップロスしなれければならない。もちろん、退却は不可能である。
 勝敗は日本軍の獲得したVPで決定される。二五VP以上で日本軍の勝利、一〇VP以下で米軍の勝利であるが、日本軍はゲーム終了時にヘンダーソン飛行場を一ヘクスでも支配していれば二〇VP、五つある重要地点(オーステン山、ブラッディ・リッジ、マタニカウ、コクンボナ、コリ岬南方ヘクス)が三VP、ヘンダーソン飛行場ヘクスに隣接、またはそこを砲撃するごとに毎ターン一VPが得られる。

2in1を四人で
 今回のプレイはゲームサークル“Middle-Earth”の協力を得て、四人で行われた。ガダルカナル島を巡る陸海それぞれの戦いを、同時進行でプレイするのである。『ロングランス』での海戦の結果が『ヘンダーソン飛行場』に影響を与えることは前述したが、このため両陸軍プレイヤーは当時の現地指揮官に近い状況に置かれることになる。例えば、日本軍プレイヤーは一一月一三日ターンに送られてくる増援部隊の内容を、その直前に実際にプレイされる第三次ソロモン海戦の結果がわかるまで確認できないのである。 筆者は日本陸軍を担当する。残る三人は、それぞれ日本海軍(鶴見一郎氏)、米陸軍(小野功嗣氏)、米海軍(栗山功氏)を担当して頂いた。

日本陸軍の作戦
 ゲームの始まる九月四日と言えば、川口支隊が独断的な舟艇機動でガダルカナル島に上陸した直後である。ミッドウェーから九死に一生を得た一木支隊はすでに全滅、飛行場は米軍が支配している。川口少将は五個大隊六〇〇〇名を率いて、ジャングルを踏破、一二日に飛行場に夜襲を敢行すると意気揚々であった。しかし、地図も持たない大混乱の強行軍の末、各部隊は連携の取れないまま突撃を敢行して、いたずらに貴重な戦力を消耗していったのである。
 この時、大本営が十分に危機感を持ち、綿密な反攻計画の下で戦理に従った行動をしていれば、この戦いの結末は大きく変わっていただろう。ああ、シミュレーションゲーマーの血が騒ぐ。なんと言っても、歴史のifを体験できることこそが、我々の特権なのだ。
 今回のプレイでは大兵の一挙投入、立体的な協同作戦(と言っても艦砲射撃だけだが……)に主眼を置いて、戦機が来るまで待つ作戦をとる。金剛、榛名の艦砲射撃が行われ、陸上兵力比が最も有利な一〇月一二日ターンをX日(夜襲決行日)とすることを鶴見氏と確認する。

アフター・アクション・レポート
<一九四二年八月九日 サヴォ島沖> 
 最初に『ロングランス』の「第一次ソロモン海戦」シナリオがプレイされた。
 日本海軍は三川部隊の活躍により勝利を収める。米海軍はゲーム序盤に夕張の魚雷でシカゴが轟沈した影響が、後々まで響いたようである。
 このシナリオで米海軍が勝利を得ていれば、ガダルカナル島の米軍は9月中の消耗チェックを行わなくてもよかったのであるが、圧倒的不利な状況を覆すことはできなかった。
 沈没日本艦:CA鳥海
 沈没米艦:CAシカゴ、CAクインシー、CAキャンベラ(豪艦)、DDウィルソン 日本軍は二VP獲得。

<一九四二年九月四日 ガダルカナル島>
 そして、『ヘンダーソン飛行場』のプレイを開始する。まずは米軍がヘンダーソン飛行場から六ヘクス以内にフリーセットアップする。別図に米軍の初期配置を掲載しているので、参考にして頂きたい。だいたい史実と同じような防御ラインである。特に初心者の方は初期配置に指示がないと、自由度が高すぎるため、かえって戸惑ってしまうことが多い。筆者もゲームを始めた頃は頭を悩ませたものである。
 一方、日本軍は全戦力をオーステン山麓に集結させる。マタニカウ、コクンボナ、コリ南方ヘクスにはダミーマーカーを陣地に籠らせて守備させる。こんなところで戦力を分散する余裕はないと判断したのである。当然、全てのスタックには隠蔽マーカーを乗せて、戦場の霧を発生させている。
 このゲームはユニットの行動範囲が広いので、日本軍が広範囲に部隊を配置すると米軍は防御ラインに迂回されるのを警戒して迂闊に移動できなくなるだろう。米軍にゲーム序盤から攻勢に出られては、部隊の温存もあったものではない。

眠れる米軍
九月四日〜一一日ターン(第一〜三ターン)
 日本軍の増援部隊は米軍ZOC以外なら、どの海岸ヘクスにでも上陸できるのだが、もちろん米軍の戦線背後にそんな隙はない。結局、高射砲ユニットと砲兵ユニットはマタニカウ西方からオーステン山の主力部隊と合流、対戦車砲を含むその他のユニットはテナヴァツに上陸、強行軍で一目散に南のジャングル奥深くに逃げ込む。平地にいると砲兵部隊の的になったり、足の早いM4シャーマンに追いつかれて、榴弾をもらってしまう危険があるのだ。
 米軍は増援もなく、大きな動きはない。いくら米軍と言っても戦力があり余っているわけではないのだ。

<一九四二年九月五日 ルンガ岬沖>
 『ロングランス』の二つ目のミニシナリオ「ルンガ岬」も続けてプレイされた。
 ヘンダーソン飛行場を砲撃に向かう三隻の日本駆逐艦を、二隻の米旧式駆逐艦が迎撃する。しかし、いかんせん開始時の彼我の距離が近すぎた。米艦は二隻ともレーダー射撃を有効に使えないまま、日本軍の酸素魚雷の餌食になってしまった。
 沈没日本艦:なし
 沈没米艦:APDリトル、APDグレゴリー
 日本軍は一VP獲得。『ヘンダーソン飛行場』に影響は与えない。

米軍の威力偵察
九月一四日〜二五日ターン(第四〜七ターン)
 米軍は、九月一八日ターンの増援で送られた米第七連隊三個大隊をブラッディ・リッジ地区を守備していた第五連隊と増強交代させ、その一部をもって、海上移動で最も手薄だったコクンボナを攻撃してきた。少しの間、日本軍に増援がないので、攻勢を警戒するユニットは必要ないと判断したようだ。
 日本軍はここにダミーマーカーしか配置していなかったので、あっさり占領されてしまう。しかし、気にすることはない。VPを計算するのはゲーム終了時であり、米軍がそれまでずっとこの村を維持できる思えない。
 日本軍にも新しい砲兵ユニットが増援され、ヘンダーソン飛行場を砲撃できるだけの必要な火力(五火力以上)が揃った。
 九月二五日ターンには、米軍はコクンボナを占領した部隊とヘンダーソン飛行場からやってきた戦車部隊で、東西からマタニカウを挟撃してきた。しかし、日本軍はここにもダミーマーカーしか配置していなかった。
 
集結する日本軍
九月二八日〜一〇月九日ターン(第八〜一一ターン)
 嬉しいことに日本軍に最も不足していた重器材が続々と送られてくる。五個砲兵ユニット!の他にも、対戦車砲、高射砲……。再三の要請に一七軍も本腰を上げてくれたようだ。
 こうしてみると、日本軍がガダルカナル戦に投入した兵力も決して少なくはない。思わず、感心してしまう。
 米軍はこの増援部隊の行動を警戒してか、終始静かにターンを終える。しかし、防御陣地は確実に強化されている。
 そして、ある程度の覚悟はしていたものの食料事情が極度に悪い。これでは飢餓との戦いだ。
 また、ヘンダーソン飛行場への砲撃は、砲弾の調達に追われながらも毎ターン行っている。

X日早まる
一〇月九日ターン/戦闘フェイズ(第一一ターン)
 予想以上の戦力の充実に奢ったわけではないが、X日を一ターン繰り上げることにした。まさに川口支隊長のようである。そのきっかけは、一〇月一二日ターンに増援される米第一六四連隊所属の三個大隊の存在である。ゲームターンは米軍が先なので、これらが到着してから攻撃しては遅いと判断したのだ。
 攻勢は史実と同じようにブラッディ・リッジを北進して、ヘンダーソン飛行場に向かうものを主軸とするが、直接攻撃では文字通り丘を血に染めてしまうので、この両側のジャングルで守備する米軍ユニットを撃滅して縦深に突破、ブラッディ・リッジを包囲するように努める。
 左翼のククム地区では浸透移動で圧力をかけ、できる限り多くの米軍ユニットを拘束するよう試みる。
 また、米軍の海上移動には細心の注意を払い、両翼端にはなんでもいいからユニットに配置して、後方に回り込まれないよう海岸を警戒させる。

 急遽、夜襲を開始する。ほとんどのユニットを米軍防御ラインに接敵させた。
 ゲームの半分が過ぎようとするこの時、両軍はガダルカナル島で初めて銃火を交わすのだが、日本軍はいきなりバンザイ突撃を敢行する。ルールの悪用と思われるかもしれないが、そこのところはご勘弁を。シミュレーションゲームは勝敗にこだわって楽しむものなのだから。
 その日本軍の圧倒的な火力?で両翼の攻撃は二ケ所とも成功するが、すぐに第二線にぶつかり、一ヘクスしか戦闘後前進できない。この攻撃には海軍陸戦隊兵士の多数の貴い命が失われた。かわいそうだが、どんなゲームでも戦闘力の低いユニットは盾として散る運命にあるのだ。

<一九四二年一〇月一一日 エスペランス岬沖>
 ここで『ロングランス』の「サヴォ島沖海戦」シナリオがプレイされた。
 米海軍栗山氏のサイコロが冴えまくり、一方的な勝利を収める。日本艦は砲撃は当たらない、魚雷は外れる、と良いところが全く見られないまま、全滅した。この海戦で日本海軍が米艦に与えた損害は、サンフランシスコを中破させただけであった。
 沈没日本艦:CA青葉、CA古鷹、CA衣笠、DD吹雪、DD初雪
 沈没米艦:なし
 『ヘンダーソン飛行場』に影響は与えない。

一〇月一二日(第一二ターン)
 前ターンの日本軍の攻撃で、驚いたのは米陸軍の小野氏であった。いきなりバンザイ突撃してくるとは思っていなかったらしい。
 米軍は戦線を部分的に後退させ、後置していた予備部隊で防御ラインの隙間を埋めていく。米軍は日本軍歩兵の浸透移動に対抗するために、戦線のほとんどにずらりとユニットを並べなければならないので、兵力の分散が激しい。しかも、それらの隙間を埋めるユニットが脆弱であれば、結局攻撃されて、突破される。また、圧力の弱い方面から戦力を抽出すると、続く日本軍の攻撃でその部分を突かれるのである。
 残念ながらこのターンは、あの有名な金剛、榛名の艦砲射撃でヘンダーソン飛行場は作戦不能に陥っているので、米軍は航空機の支援は期待できない。実は、これもX日を早めた理由なのだ。
 その後、日本軍の艦砲射撃が最前線に降り注ぐ。この支援の下、またもバンザイの声がジャングルにこだました。日本軍はファイター・ワンに肉薄、ブラッディ・リッジ頂上の米軍ユニットを包囲した。
 日本軍はヘンダーソン飛行場まで二ヘクスに迫った。

来たるクライマックス
一〇月一六日ターン(第一三ターン)
 日本軍は先の海戦の敗北にもめげず、六隻からなる高速輸送船団で強力な増援(戦車ユニットもある)を投入、戦果の拡大を計る。計画通りとは言え、抜群のタイミングである。
 日本軍はここで攻撃軸をブラッディ・リッジ地区から手薄になったククム地区に移して、膠着しかけた局面を打開することにした。筆者の期待を一心に背負ったこの増援部隊はこの地区の米軍を見事に撃破、海岸沿いにマタニカウ川まで一気に突破する。
 ブラッディ・リッジの包囲を解くために、砲兵力の大半を費やした米軍は、決して恐れるものではない。
 『ヘンダーソン飛行場』はジャングルが基本地形となっており、平地ヘクスは移動コストは二分の一、戦闘時は攻撃側有利に一コラムシフトされる。このため、ククム地区のような平地ヘクスにある両軍は、急速に弱体化して流動的な戦いを生むのである。

シーソーゲーム
一〇月一九日〜三〇日ターン(第一三〜一六ターン)
 その後、米軍と日本軍のシーソーゲームが続く。日本軍が楔を打ち込み、米軍が自慢の砲兵力で押し戻すと言ったことが繰り返された。しかし、日本軍は着実に米軍を海に追いやり、確実に損害を累積していった。
 日本軍は攻勢軸をククム地区から少し東に移し、ヘンダーソン飛行場から南西方向に伸びる丘陵地帯を進撃した。
 一〇月二三日ターン。ブラッディ・リッジは、ついに日本軍の手に帰した。
 そして、ヘンダーソン飛行場南ヘクスに進入したのは、一〇月二六日ターンのことであった。

主役の没落
一一月二日以降(第一三ターン〜)
 米軍は日本軍の攻勢で追いやられたルンガ地区の僅かな地域に、大部隊を上陸させてきた。ここからはイニシアティブが米軍に移り、日本軍にとっては辛いものとなる。
 たしかに米軍はかなりの損害を被っていたが、日本軍のそれはそれも比較にならない程、多大なものだった。今ではもはや、攻勢どころか戦線を維持することさえ困難である。
 疲弊した日本軍はヘンダーソン飛行場南ヘクスを維持できるはずもなく、米軍の圧倒的な兵力の前に為す術もなく、間もなく駆逐されてしまった。反撃しようにも戦力がない。得意のバンザイ攻撃も完全に影を潜めた。この頃の日本軍に対するステップロスとは、ユニットの除去を意味したのである。
 そして一一月九日。日本陸軍筆者は降伏を申し出、米陸軍小野氏はそれを快く受け入れた。彼も結末のわかりきった、不毛な戦いにピリオドを打つべきだと語った。
 そして、二人は立ち上がり、堅い握手が交わされた。

総評
 『キャンペーン・フォー・ガタルカナル』はセットアップや戦略の柔軟性が高いことから、中級者向けのシミュレーションゲームと言えるだろう。ルールは非常に簡単だが、それゆえにプレイヤーの行動の幅も広いのである。
 そして、日本軍のガダルカナル島撤退が開始されたのが、翌年二月一日。それまでに結局のところ、南洋に浮かぶこの小さな島で二万人以上の兵士たちが命を落としたのである。この事実に目を背けてはいけない。事実を正しく理解することは、シミュレーションゲーマーの義務なのである。

付録
 『ヘンダーソン飛行場』が終了しても、海の戦いは続いていた。簡単ではあるが、以下にその結果を紹介しよう。

<一九四二年一一月一三日 ガダルカナル島沖>
第三次ソロモン海戦(一日目)
 このシナリオは日本海軍は比叡、霧島をマップ南端から退出させることができれば、勝利を得られる。米海軍の圧倒的有利な状況で始まった戦いではあったが、米艦のレーダー射撃の精度が悪く、接近戦を余儀なくされる。しかし、鶴見氏は激戦の中、駆逐艦を盾にして、この二隻の戦艦を早々と離脱させることに成功する。
 沈没日本艦:DD暁、DD朝雲、DD雪風、DD春雨
 沈没米艦:CAサンフランシスコ、CLアトランタ、CLヘレナ、DDフレッチャー このシナリオで日本海軍が勝利すると、『ヘンダーソン飛行場』の影響を与える。
 ・戦車ユニットを含む六ユニットが通常の増援に加えられる。
 ・一一月一三日ターンは米軍航空機が登場しない。
 ・一一月一三日ターン以降の日本軍の戦力消耗チェックは四以下ではなく、三以下に  なる。
 ・第三次ソロモン海戦(二日目)のシナリオは行われない。

<一九四二年一一月三〇日 タサファロング沖>
ルンガ沖夜戦
 そしてこれがガダルカナルを巡る最後の海戦である。いきなり反航戦で始まるこの戦いは、最初の一撃で勝負が決まる。しかし日本海軍鶴見氏、「あれっ、あれっ?」と言いながら次々と魚雷を外していく。次弾発射準備が終了するまでの間に、日本艦は次々と燃えていったのである。
 沈没日本艦:DD高波、DD親潮、DD黒潮、DD陽炎
 沈没米艦:なし


3W社『キャンペーン・フォー・ガダルカナル』正誤表
                               1994年8月3日


 以下はマイケル・S・スミス氏から直接送って頂いた最新の正誤表です。すでにゲームを持っている方も、これから買おうと思っている方にも、きっと役立つと思います。

ヘンダーソン飛行場」
1.2.2項(訂正):記載されているユニットは第7師団228連隊2中隊となっているが第38師団228連隊2中隊である。
2.2.22項(訂正):アメリカ陸軍ユニットはオリーブグリーン地に白色ではなく、ライトグリーン地に緑色で印刷されている。アメリカ海兵隊ユニットはオリーブグリーン地に薄緑色ではなく、白地に緑色で印刷されている。
3.5.4項(説明):塹壕内の混乱しているユニットが攻撃された場合、修正(+1)はそのユニットを戦闘力を半分にした後に加算される。
4.5.73項(追加):第一文の終わりに以下の文を追加する。“……、または隣接している敵ユニットと戦闘した場合”
5.12.4項(説明):プレイヤーが除去されたユニットを再編成して盤上に復帰させる場合、そのユニットは自軍支配下のヘクスならばどこにでも配置してよい。
6.15.3項(追加):アメリカ軍プレイヤーが先にユニットを盤上に配置します。
7.ヘンダーソン飛行場地図盤(重要な訂正):11月13日のアメリカ軍補充ユニットの数は“×4”ではなく“×1”である(注意事項:これは非常に単純な誤植である。この補充ユニットは第4補充中隊として知られているのである)。

「ロングランス」
1.2.42項(説明):記載されている砲撃マーカーは攻撃力“12”、射程距離“20”である。記載されている魚雷マーカーは雷撃力“B”である。
2.6.31項 損害ポイント表(説明):損害ポイントが“0”の場合、“外した”もしくは効果がなかったものと考える。
3.6.32項 砲撃戦闘結果表(説明):1:2より低い戦闘比は効果がなかったものと見なされる。6:1以上の戦闘比は6:1と見なす。
4.14.11項(説明):特別損害決定表は雷撃戦闘結果表の修正前のサイコロの目が“7”もしくは“11”だった場合のみ、使用される。
5.ロングランス地図盤:以下の方位盤を地図盤に書き加える。

                          −−マイケル・S・スミス

 


戻る


ホーム

更新日 : 2000/08/17.