終わりの始まり

付録ゲーム『第48装甲軍団の死闘』アフターアクションレポート (17号)


 今号の付録ゲーム『第48装甲軍団』は、元々1991年に発売された『Counter Attack』誌3号の付録ゲームであった。
 この『Counter Attack』誌は、パシフィック・リム社が不定期に刊行しているゲーム雑誌で、ちなみにどのくらい不定期かというと、2号が出てから3号の発売まで2年以上もかかっている。現在は4号(付録ゲームは『Korea'95』)まで出ているが、残念ながらこれをもって休刊(廃刊!?)のようである。ただ、インターネットで『Korea'95』の情報が引き出せないところをみると、もしかすると4号さえまだ出ていないのかもしれない。
 出版元のパシフィック・リム社と言えば、一昨年にちょっと変わった仮想戦『Balkan Storm』やWWTのアミアンの戦いを扱った『Black Day of German Army』(本誌8号にアフター・アクション・レポートを掲載)など、紙袋入りのミニゲームを発売していたのでご存じの方も多いと思う。本誌5号にそれらの紹介記事が掲載されているが、これがなかなかの佳作揃いである。
 今回取り上げた『第48装甲軍団』は1942年12月初旬、独ソ両軍の間で繰り広げられたチル河の戦いを扱っているのだが、ピンとこない方も多いと思う。
 この戦いは、ちょうどスターリングラードのドイツ第6軍包囲を扱ったウラヌス作戦(42年11月19日〜23日)と、コーカサスに進出していたドイツA軍集団をロストフを奪回することで孤立させようとしたリトルサターン作戦(42年12月16日〜43年1月19日)の間に行われたもので、この頃になるとソ連軍は戦前トハチェフスキー元帥が提唱していた縦深戦闘理論を修得しており、戦局もソ連軍に傾き始めていた。
 また、この戦いは『スターリングラード・ポケット』でも見ることができる。時期としては第10〜12ターン、場所はスターリングラードの西、約120キロメートル。『スターリングラード・ポケット』のマップを広げてみよう。スターリングラードをまっすぐ下に行くと、NIZHNE CHIRSKAYAやSovkhoz:79の地名を見つけることができる。
 結局、チル河の戦いはマインシュタインの卓越した指揮によってソ連軍が返り討ちにあったのだが、戦略的に見るとドイツ軍はスターリングラード奪回を企図した“ウインターストーム作戦”に投入すべき戦力をここで消耗してしまう。
 詳細については、本誌特集にストルフィ博士のヒストリカル・ノートを始めとした関連記事が載っているので、そちらにご覧になっていただきたい。

ゲームを見る
 ゲームスケールは作戦/戦術級といったところだろうか。『クルスク大戦車戦』(本誌11号付録)のようにユニットはZOCを持っているが、ユニット単位で攻撃するスタイルである。デザイナーズ・ノートにもあるが、SPI社『セントラル・フロント・シリーズ』のシステムを流用しており、とりわけ戦闘→移動のシークエンスと敵ZOCからの離脱チェックルールなどで予備の重要性をシミュレートするのに成功している。
 このゲームでは、戦車は最強の兵器として君臨している。その攻撃力はすべての兵器に対して2倍となる。戦車ユニットを見る限りでは各ユニットの攻撃力は低いように見えるが、これは編成規模が小さい(中隊〜大隊)ことに起因している。それでは、始めから攻撃力を2倍にしてユニットに記載しておけばよいのでは……と思うかもしれないが、装甲兵力特有の脆弱な耐久力を再現するための処置と理解していただきたい。
 彼らの持つ迅速な機動力も見逃せない魅力である。すべてのユニットは通常の戦闘の他にオーバーランに似た“移動戦闘”ができるので、装甲部隊になると十数ヘックスもはるばる移動してきて、そのまま大火力で攻撃!!なんてことも可能になっている。こういった、装甲兵力の予備としての有効性が明確に打ち出されているところなどは、非常に好感を持てる。
 また、今回も日本語版発売にあたって、いくつかの改良が施されている。
 減少した戦力値はオリジナル版では回転式マーカー(コロンビア・ゲームズ社『イースト・フロント』の電撃戦マーカーのように、マーカーの四辺に書いてある数字の向きによって数値を表す)を使用していたが、日本語版では『ブダペスト1945』と同じように“−#”といったマーカーに変更されている。この方が混乱(間違い)が少なくてよいだろう。
 その他、特定の行動に関してはユニットを90度回転させたり、裏返して区別するようになっていたが、日本語版では新たにそのためのマーカーが用意されている。
 オリジナル版も雑誌の付録ゲームだったので、ユニット数の制限(1シート200個)による苦肉の策だったのだろう。
 マップやユニットも一新されており、それはそれは見事な出来映えである。
 もちろん、発表されているオフィシャル・エラッタもすべて訂正済みである。

ドイツ軍の作戦
 それではプレイングの話に移ろう。
 勝敗は敵ユニットの減少ステップ数と重要地点(町や橋梁)の支配で獲得した両軍のVPで争われる。重要地点のVPは全部で9ヶ所、70点。ゲームはドイツ軍有利ということだが、戦力から見てすべてを守るのは到底無理である。今回のプレイでは、プレイヤーズ・ノートにもあるようにチル河東岸のAdamグループを速やかに後退させ、その方面の重要地点は放棄することにした。たとえ、しっかり守るにしてもソ連第4機械化軍団がエリアAから出てくる保証はないし、登場しても地形が険しいので前進も遅いだろう。
 ドイツ軍は基本戦略として後退防御を念頭に置く。チル河西岸では、戦車兵力の集中している2ヶ所での突破はしかたないとあきらめるが、このゲームの戦闘後前進や突破戦闘は非常に強力なので、戦線が食い破られた時点で大きく後退する方がよいと思われる。
 ゲーム序盤は戦力の損耗を最小限に押さえながら後退し、ソ連軍が伸びきったところでバック・ハンド・ブロウ、というのが理想である。この場合、戦闘を有利にする手段はいくつかあるが、装甲部隊の機動力を生かして、とりわけ包囲攻撃を多用したい。
 ソ連第4機械化軍団が第1ターンにエリアAから出てくる保証はないと前述したが、ドイツ軍の戦略を考える上でこの機会にソ連軍の増援、特に第4機械化軍団の登場時期/方面について少し考えたい。彼らがソ連軍増援の中で最も強力で、最もゲームに影響を与えるのはおわかりいただけるだろう。
 彼らは第1ターンにエリアAから登場することができるが、そこには機械化ユニットに適さない地形が大きく広がっている。第4ターンのエリアBは論外である。3ターンも遅らせて隣のエリアからでは、戦略的な旨味はないだろう。
 そうなると、対抗案として第5ターンのエリアCorDが浮上する。エリアEorFも第9ターンに第5機械化軍団が登場するだろうから、大きな意味をなさない。
 プレイヤーズ・ノートには増援の登場は最も早い時期がよい、特に第4機械化軍団は第1ターンに登場させるべきであると強く書かれている。彼らは南方突破のための助攻兵力として位置付けられ、その有効性に疑う余地はない。しかし、それでいいのだろうか? このゲームでは、わざわざソ連軍増援の登場時期/方面をプレイヤーが選択できるようになっているのだから、もっと他の楽しみ方があるのではないだろうか。

ユニットを置く
 ドイツ軍の初期配置で最も特徴的なところは、マップ西端から繋がっているドイツ軍の戦線が、Don河を巻いてMishkova河で終わっていることである。しかも、エリアA正面には、最も脆弱な3戦闘力ユニットを3個しか配置していない。ここから第4機械化軍団が登場しても、彼らが通れる道は5319と6220の橋だけなので、これで十分効果があるものと考えた。
 他のAdamグループのユニットはNizhne Chirskayaの南にスタックして配置している。ちょうど真上からやってくる将来の危機に備えているのだ。このゲームは敵ZOCから簡単に離脱できないようになっているので、Novomaksimovskiy方面のユニットがチル河以西へ後退するまで、交通の要衝である4922を経由した退却路を確保しなければならない。
 あと、Surovikinoの突出部をどう守ろうかとしばらく迷った。開始線に沿って歩兵ユニットを置いていくか、配置制限のない戦車ユニットをSurovikinoに置いて、そこを第一線とし、最初から突出部を放棄するか、である。結局、前者を選んだ。戦車兵力の温存が根底にあったことは言うまでもない。
 ここで特筆しておきたいのは、両軍とも指定エリア内のフリーセットアップであるが、この作業は非常にスムーズに行われるということである。特に、ドイツ軍はユニット数の関係でこうして置いた方がよいだろう、と簡単にわかるところがいくつもある。かといって、そういうところばかりでもない。プレイヤーの戦略を反映する余地も十分に残されているのだ。

さあ、始めよう
第1ターン
予想通り、ソ連軍は強力な砲兵支援を背景に各所で突破をはかってきた。しかし、サイコロの目はあまり芳しくない。ソ連軍ターン終了時の戦況を見ると、これで突破なんてできるのか?というくらい遅々としたものだった。第336擲弾兵連隊はチル河沿いに踏ん張ったままだし、Surovikino方面の部隊も大した損害を受けていない。唯一、SurovikinoとOblivskayaの間で前進されたが、それは事前に予想していたことなので、ショックもない。
 行き場を失ったソ連軍ユニットがずらりと並んでいる様は、なぜかしら微笑みを誘った。
 一方、ソ連第4機械化軍団はエリアAから登場してきた。移動攻撃の戦闘後前進でDon河沿いに布陣するドイツ軍ユニットが包囲されたが、とりあえず足を止めることには成功である。
 また、ソ連軍のその他の増援も第1ターンにすべて登場している。
 ドイツ軍は重要地点にいくつかの足止め部隊を残したまま、全面的に退却を始める。しかし、こちらもサイコロの目が芳しくなく、多くのユニットが拘束されたまま、特にNovomaksimovskiy方面のAdamグループはほとんど退却に失敗し、このため、Nizhne Chirskayaの南にスタックから一部の兵力を回さなければならないほどだった。
 Nizhne Chirskaya前面は、予定通りそこから東の荒地帯に伸びる道路だけは取られないよう、点在する丘を利用して厚いスクリーンを張る。
 そして、5319の橋には対戦車ユニット3枚を含む6枚スタックで待ち構える。ソ連第4機械化軍団はすべて機械化ユニットなので、Don河を橋以外で越えることはできないのである。
 Stumpfeldグループの戦車と砲兵はSovkhoz79に、その他敵ZOCの離脱に成功したユニットも大きく後退して、127高地やその周辺の交差点にとりあえずスタックさせる。ソ連軍がどこを目指しているのかまだわからないので、兵力の展開は控えた。
 結局、ドイツ軍としては、Adamグループの撤収が終わらないうちにNovomaksimovskiyの西にいるソ連軍戦車部隊がまっすぐNizhne Chirskayaに南下してくるのを最も恐れている。

第2ターン
 ソ連軍の激しい攻撃によって、戦線に次々と穴が開いていく。逃げ遅れたユニットは容赦なく赤い波に飲み込まれていった。
 このターンはドイツ軍の多くが後退したことで、大きく2ヶ所から突破された。Novomaksimovskiyの西にいるソ連軍戦車部隊はドイツ軍のいなくなったチル河の対岸へ、さらにその西では127高地まで進出してきた。ここのソ連戦車部隊は左右二手に別れ、それぞれSurovikino、Oblivskayaの後背に出ようというに魂胆のようだ。
 マップ東端から登場した第4機械化軍団は5319と6220の橋に迫るが、相当手こずっている。ただし、Novomaksimovskiyに第5親衛狙撃兵師団が南下してきているので、いつまで持ちこたえられるかわからない。この方面のAdamグループは、ソ連軍の強力な攻撃と巧みな機動によって6個ユニットが包囲されてしまった。
 おのおのに包囲されているドイツ軍ユニットは小規模な反撃を行い、各地で脱出をはかる。包囲されているユニットは戦闘で敵ユニットを後退させるか、自分が後退(このゲームでは、追加ステップロスを被るものの敵ZOCに退却することは可能)することによって、自軍部隊への復帰を目指すのである。しかし、敵に与えた損害は0。う〜ん、なんとも情けない。
 虎の子の第11装甲師団が登場するわけだが、151高地付近で様子を伺うことにした。念のため、Verkhne solonovskiyに歩兵と対戦車ユニットの一部を派遣している。これによって、チル河からVerkhne solonovskiyまでは一応戦線らしきものができている。
 しかし、Verkhne solonovskiyとその北の166高地の間には7LWの1ユニット以外にユニットを配置せず、わざと開けている。早い話、そっちに行ってほしいのだ。 

第3ターン
 包囲されているAdamグループのユニットが次々と死んでいく。しかし、ソ連軍第4機械化軍団は、全ターンと同じように5319の橋の攻撃を控えた。やはり、対戦車ユニット3枚にはおいそれと手を出せないのだろう。どうも、北から進撃している第5親衛狙撃兵師団を待っているようだ。
 チル河渡った第26戦車師団はチル河沿いにまっすぐ南下、高地に布陣していたドイツ軍に移動攻撃を試みる。Adamグループ完全に遮断し、第4機械化軍団の道を開けようというのだろう。この攻撃に対しては、対戦車ユニットの活躍や砲兵支援の甲斐もあって、敵戦車部隊にダメージを与えた。
 お返しとばかりに第11装甲師団が第26戦車師団の先鋒に反撃を行う。大打撃を与えて壊走させ、戦闘後前進で数ユニットの包囲に成功する。
 しかし、第11装甲師団は本当に強い。戦闘結果表の一番右の欄で移動攻撃できるだから。しかも、士気値は5ときている。
 西部方面では、SurovikinoとOblivskayaが占領される。この方面は大きく突破されており、兵力が足りないことは必至。ソ連軍はまだ具体的な進撃を見せていないので、こちらも迂闊に手を出せない。

第4ターン
 第11装甲師団の攻撃を受けた第26戦車師団は、あっさり後退してしまった。それに代わって、西部方面の127高地付近にいた第5戦車軍団がSovkhoz79に押し寄せる。両側面に1ユニットずつ派出して後方の安全を確保しているところなど、なんともソ連軍らしからぬ行為である。
 今から思うと、筆者はここで目が眩んでしまったのかもしれない。第11装甲師団のあまりの強さに、第26戦車師団の追撃を命令する。この甲斐あって、さらにソ連軍4ユニットが除去。大戦果である。すごい!この調子でいけば、全滅させられるぞ!!という思いが頭を駆けめぐる。
 もちろん、Sovkhoz79が気にならないわけではなかった。しかし、ここで筆者は「後からでも間に合うだろう」と楽観的な判断を下してしまったのである。周辺の部隊を呼び寄せ、「第11装甲師団があっちの戦車の掃除が終わらせるまで、とりあえずこれでしのごう」などと考えたのであった。

第5ターン
 Sovkhoz79の争奪戦が本格化する。ソ連軍は数にモノを言わせて延翼運動を繰り返し、特にドイツ軍右翼で包囲を試みる。Verkhne solonovskiyに続く連絡線を遮断しようというのだろう。また、ソ連軍は砲兵ユニットの直接射撃(戦力値2倍!!)を多用してきた。
 そんなことには目もくれず、第11装甲師団の活躍は続く。このターンもソ連軍3ユニットを除去した。もう今では、チル河が見える位置までソ連軍を押し戻している。
 このためだろうか、ソ連軍は自軍プレイヤーターンの移動でAdamグループの掃討を終えた第6親衛狙撃兵師団を、この方面のチル河対岸に回してきている。

第6ターン
 後方での掃討戦で手間取っていたソ連第47親衛歩兵師団が、とうとうVerkhne Aksenovskiy(2226)に迫ってきた。
 一方、同じくSurovikino周辺の掃討を終えたソ連軍歩兵部隊は、161高地を伺う。そこはちょうど第11装甲師団の左翼側面に当たり、大きく口を開けたままになっていた。
 小考の末、これを機会に戦線の整理をはかり、第11装甲師団はSovkhov79方面に転進させることにした。しかし、第26戦車師団の主力である戦車部隊は撃ち漏らしている。これをいっこう捕まえられなかったことで、執拗に深追いしすぎたかもしれない。

第7ターン
 ソ連軍の用意周到な準備下攻撃で、一足違いでSovkhoz79を占領されてしまった。戦車と砲兵支援があまりにも強力なので、後退しなければ全滅するところだったのだ。この戦いで、歩兵では戦車にまったく太刀打ちできないことを、あらためて痛感させられた。
 また、ソ連第47親衛歩兵師団が迫るVerkhne Aksenovskiyに数ユニットを抽出しなければならなかったことも、Sovkhoz79を占領された一因と言えるかもしれない。この時はまだ、「まぁ、第11装甲師団で奪回することにしよう」と楽観的な見方をしていた。
 東を見ると、第4機械化軍団はすでに2つの橋を確保し、隘路を縫って前進中。Nizhne Chirskaya前面はドイツ軍の背の高いスタックとソ連軍の歩兵ユニットが所狭しと並んでいる。じりじりとソ連軍が前進しているが、ほぼ膠着状態といってよいだろう。
 しかし、マップ中央の第333狙撃兵師団がVerkhne Solonovskiyに迫り、東西を走る道路をZOCに収めてきた。これで、第11装甲師団がSovkhoz79にたどり着けなくなってしまった。
 しかも、ソ連第47親衛歩兵師団がVerkhne Aksenovskiyに3ヘックスから隣接してくる。このターンの攻撃は控え、次ターンの準備下攻撃に備えるようだ。
 自軍プレイヤーターンにとりあえず、第11装甲師団にVerkhne Solonovskiyに進出してきた第333狙撃兵師団のユニットを攻撃させる。この作戦はVerkhne Solonovskiyにいた部隊も含めた3回の攻撃で成功する。
 道が開いたところで、残しておいた装甲主力をSovkhoz79に向けて走らせる。一番手近なソ連軍スタックを攻撃するが、敵は士気チェックに成功させて頑強に抵抗する。こういう時の歩兵は我慢強い。
 本来ならば、高戦力で3回は攻撃できるはずだったのだが、いらぬ邪魔が入って劇的な展開にはならなかった。

第8ターン
 Sovkhoz79の東で戦車戦が発生。ソ連軍プレイヤーも、ここを正念場と考えているようだ。歩兵主体のソ連軍の攻撃は地味なものだったが、第11装甲師団は強力な火力と豊富な機動力を生かして、移動攻撃で包囲戦を繰り返し、ソ連軍の後背に出ようと試みる。常に包囲すれば1コラムシフトを受けられ、なおかつ退却するにしても、ソ連軍ユニットに余分にステップロスを強要できる。
 しかし、両軍共に決定打を欠いた。ドイツ軍はいささか前進したものの、戦線はSovkhoz79と166高地を結ぶラインで落ち着いた。
 ゲーム中最強の歩兵ユニットを擁するソ連第47親衛歩兵師団のVerkhne Aksenovskiyに対する一斉攻撃には、正直まいった。歩兵師団のくせに砲兵支援やら戦闘修正やらで、最高戦力欄で攻撃してくる。ここを守るドイツ軍スタックも士気チェックを成功させ頑強に抵抗するが、その損害はすさまじいものがある。
 Nizhne Chirskaya方面はドイツ軍戦線を1ヘックス後退させただけにとどまっている。もはや、この方面のソ連軍に活発な活動はないようだ。

第9ターン
 ソ連第5機械化軍団がエリアFから登場してきた。全速力でまっすぐ南に走り、127高地まで到達。
 一方、ソ連第47親衛歩兵師団にVerkhne Aksenovskiyを占領される。さすがに2回目の最高戦力欄の攻撃は受け止められなかった。
 このターン、ゲーム開始以来、初めてマップに一つに繋がった戦線が形成された。

その後
 ソ連第5機械化軍団はVerkhne Aksenovskiy周辺で小競り合いを演じた後、そのほとんどのユニットをマップ南端から突破させる。ドイツ軍としては、Verkhne Aksenovskiyが占領されたために、道路が使えなかったことが痛い。
 結局、Nizhne ChirskayaとVerkhne Solonovskiyはなんとか守ることができたが、Sovkhoz79とVerkhne Aksenovskiyは最後まで奪回できなかった。
 ドイツ軍は戦略的敗北を喫した。

まとめ
 ドイツ軍の敗因は、ずばり第11装甲師団の過大評価とソ連軍兵力(特に歩兵)の過小評価にある。
 そのシチュエーションが似ていることから、『リング・オブ・ファイア』のドイツ軍とイメージをダブらせてしまった。しかし、このゲームのドイツ軍は『リング・オブ・ファイア』のドイツ軍ほど強くなく、ソ連軍はより強力だった。
 たしかに第11装甲師団は強い。しかし、彼らが対応できるのは1ヶ所だけなのである。今回のプレイでは、ソ連軍には4本のスピアヘッドが存在し、彼らは常に計算された複数の場所で同時に攻勢に出た。まずは序盤の第26戦車師団によるもの。第11装甲師団は果敢に攻撃を仕掛けだが、深追いしすぎて時間を浪費してしまった。
 2つ目はSovkhoz79に迫った第5戦車軍団を中心にした混成戦車部隊によるもの。3つ目はVerkhne Aksenovskiyを攻略した第47親衛狙撃兵師団によるもの。この師団は9戦力(9ステップ)ユニットを3個も持っているので、彼らに奪われた土地は帰ってこないと見た方が良いだろう。最後は第4機械化軍団によるものである。派手な活躍はなかったが、Adamグループの掃討とドイツ軍兵力の誘因には欠かせない大きな意味を持っていた。
 また、第9ターンに登場する第5機械化軍団も、5つ目のスピアヘッドとなる要素を十分に持っている。南方突破の最後の鍵を握っている部隊といえるだろう。
 ルールシステムはシンプルだが、戦闘システムに慣れるためには数回のプレイが必要になるだろう。戦術色の濃いゲームの運命として、うっかり忘れそうな細かいルールがいくつかある。
 ただ、いったんゲームシステムに慣れてしまえば、多くのプレイヤーの評価はさらに高まるに違いない。高いプレイアビリティと良好なゲームバランスが、プレイヤーをどんどん深みにハメてくれるだろう。
 重要地点によるVPは70点と前述したが、ごく普通にプレイされた場合、ゲーム中盤までに両軍共35VPずつを分けることになる。後はユニットのステップ数で勝負するか、さらにもう一つの重要地点を奪うか、ソ連軍に関しては南方突破という選択肢も用意されている。ここはプレイヤーの技量と裁量が大きく左右するところである。
 増援の登場時期に変化を持たせることができるのも、非常におもしろい。プレイヤーズ・ノートに書いてある増援に関するアドバイスは的確であるが、意外性を持たせ、対戦者の心理的動揺を誘うには十分である。これをうまく使うことによって、新しい作戦が生まれるだろう。
 今回、ドイツ軍は後退戦術を採用したものの、ハリコフ戦のようなバック・ハント・ブロウを演じることができなかった。一方、史実ではドイツ軍はチル河沿いにかたくなに抵抗を続けていた。次は、読者の皆さんが新しい作戦を考える番である。機会があれば、一度対戦しましょう。


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更新日 : 2000/08/17.